サムスン、メモリー価格最大60%値上げ AI需要追い風 14-Nov 18:41

韓国サムスン電子(005930.KS)が今月、世界的な人工知能(AI)データセンター建設ラッシュで不足している半導体メモリーの価格を9月に比べて60%も引き上げたことが関係者の話で分かった。

サムスンは通常、毎月メモリー価格を発表するが、10月に価格の発表を延期した。

価格が引き上げられたのは、「DDR5」という最新規格のDRAM。サーバーなど大量のデータを処理するのに欠かせないメモリーだ。

電子部品卸売りの米フュージョン・ワールドワイドのトビー・ゴナーマン社長はロイターに、サムスンの32ギガバイト(GB)DDR5メモリチップモジュールの11月の契約価格が239ドルと、9月の149ドルから60%高くなったと述べた。16GBと128GBは約50%引き上げ、それぞれ135ドルと1194ドルとした。64GBと96GBの価格も30%以上上がったという。

サムスンの説明を聞いたという別の関係者も値上げを確認した。サムスンはコメントを控えた。

業界幹部やアナリストは、メモリーチップ不足は深刻で、一部顧客のパニック買いに拍車をかけていると指摘する。

中国の半導体受託製造最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)(0981.HK)は14日、メモリーチップ不足のため、顧客は自社製品に使う他の種類のチップの注文を控えていると述べた。

AI半導体で出遅れたサムスンにとって、現下のDRAM不足は追い風だ。

KB証券のジェフ・キム調査部長は、メモリー部門ではサムスンはSKハイニックス(000660.KS)やマイクロン(MU.O)よりも価格決定力があると指摘。

トレンドフォースのアナリスト、エリー・ワン氏は、サムスンが10─12月期の四半期契約価格を40─50%引き上げる公算で、業界全体で予想される平均30%を上回ると述べた。