半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)(2330.TW)が米国に1000億ドル追加投資する。16日の第2・四半期決算発表で、今年の設備投資計画を約15%引き上げた。黄仁昭最高財務責任者(CFO)は決算発表後のインタビューで、「顧客からの力強い需要、複数年にわたる構造的な需要」により人工知能(AI)向け半導体に対する旺盛な需要は複数年続くと予想し、投資を継続すると述べた。 もっと見る
TSMCが追加投資する米アリゾナ州では、「ファブ」と呼ばれる複数の製造施設が稼働、または建設中。黄氏は、アリゾナ州の状況に「非常に満足」していると述べ、それが同州への投資を2650億ドルに引き上げる決定につながったと説明した。
「われわれは投資を継続する」と述べ、米政府の支援に非常に感謝していると語った。
<アリゾナの製造拠点12に>
黄氏によると、アリゾナ州では、第1工場がすでに稼働しており、台湾の主力工場と「同等に良好な」歩留まりを達成している。
第2工場では設備の搬入が間もなく始まり、第3工場は建設中。第4工場および当地で初となる先端パッケージング施設の準備作業が始まっている。
現在および計画中のプロジェクトを合わせると、TSMCのアリゾナ州の拠点は12の製造および先端パッケージング施設、および研究開発(R&D)センターに拡大する。
黄氏は最新の投資に関するスケジュールは明らかにしなかった。
「確保可能な建設作業員の数やインフラなど、物理的な制約がある」とし、「これらの問題を解決するために政府と緊密に協力していく」と説明した。
<台湾でも投資>
本拠を置く台湾でも投資を継続しており、今後数年間で13の最先端および先端パッケージング工場を建設する予定だ。
「台湾では土地は希少な資源だ」と黄氏は指摘。「だから利用可能な土地があればいつでも、最も最先端の技術のためにそれを使用する」と語った。
「最先端の技術を立ち上げる際は、R&D部門と製造部門の非常に緊密な連携が必要になる」とし、「それは台湾で行われなければならない。それが安定したところで、海外への移管を検討できる」と述べた。
<社債発行>
米国で新株発行による資金調達を検討するかとの質問に対し、黄氏は市場環境が良好であれば「新たな社債の発行を排除しない」と答えた。
TSMCは米中対立という逆風にも直面している。米政府は中国への先端半導体の輸出を管理しようとしている。
ロイターは昨年、TSMCが製造し、最終的に中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)のAIプロセッサーに組み込まれた半導体を巡り、米国から10億ドル以上の罰金を科される可能性があると報じた。
黄氏はこの件については米政府に聞いてほしいと述べた上で、社内輸出管理システムを常に見直していると説明した。
「全ての規則や規制を順守するという点でわれわれにできることには限界があると言わざるを得ない。顧客が別の顧客に販売するのは、彼らの判断による。ある時点で可視性を失う。それが現実だ」と語った。
TSMCは長年、世界最先端の半導体製造をリードしてきたが、メモリー市況の急回復の恩恵を受けている韓国サムスン電子(005930.KS)や、米政府が支援する米インテル(INTC.O)などの競合他社がその差を縮めようとしている。
黄氏は、自社のビジネスモデルに引き続き自信を持っていると述べた。「どんなチャンスも逃さない」とし、「競合他社も優れているが、われわれはさらに優れている」と語った。