米議会上院が暗号資産(仮想通貨)市場構造法案「クラリティ法案」の採決を15日に控え、与党共和党の米上院議員3人が修正草案を13日に公表した。倫理規定に関する野党民主党の反対意見や、融資に関する銀行業界の懸念に対処したと説明している。
3人は、修正草案には民主党の要請に基づいて126項目の実質的な修正を盛り込んだと主張した。だが、可決に必要な60票の賛成を得るだけの支持が集まるかどうかは依然として不透明だ。銀行業界は修正草案にも反対姿勢を示している。
クラリティ法案を巡っては倫理規定や不正資金対策が不十分なことや、預金獲得競争を激化させて銀行システムを不安定化させる恐れがあるとの懸念から、民主党および一部の共和党議員が反発して審議が停滞していた。
民主党は特に、公職者が自身の仮想通貨事業から利益を得ることをより厳しく制限する条文を盛り込むように強く求めてきた。背景には、トランプ米大統領(共和党)の息子らが仮想通貨ベンチャー「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」を運営し、トランプ氏がミームコインも含めた自身の仮想通貨事業で14億ドルの利益を得た問題がある。
修正草案をまとめたのはいずれも共和党所属で、西部ワイオミング州選出のシンシア・ルミス、南部アーカンソー州選出のジョン・ブーズマン、サウスカロライナ州選出のティム・スコットの各上院議員。
協議に詳しい情報筋によると、民主党は13日夜に修正草案について協議するための電話会議を開いた。
ルミス氏は声明で「トランプ氏は前例のない倫理規制に自発的に同意し、連邦選出の公職者、裁判官、およびその配偶者全員に対して米国史上最も厳しい倫理規制の一部を課すことになった」と主張。「1年間にわたって超党派の激しい交渉を日常的に重ねた結果、この法案は完成した」とした上で、「民主党は望むものを手に入れた。彼らは今こそ、『イエス』と答えるべきだ」と訴えた。
新たな条文には、政治家が自身の仮想通貨事業から利益を得ることを禁じるとした、より強い文言を盛り込んだ。大きな変更点としては、州司法長官に規制を執行するためのより大きな権限が与えられる。
キャピタル・アルファ・パートナーズのマネージングディレクター、イアン・カッツ氏は調査ノートで修正草案について「民主党の主張に一歩近づいたものだ」としながらも、民主党の要求の柱である政治家が投資を完全に手放すことを強制するものになっていないと言及した。
上院銀行委員会の民主党筆頭委員であるエリザベス・ウォーレン上院議員のスタッフは、修正草案の規定が「空虚」であり、トランプ政権下の政府倫理局が一方的に訴訟を打ち切ることができる点に懸念を表明した。