世界各国の政府が子どもの交流サイト(SNS)利用規制に動く中、ユーザーの年齢を割り出す年齢確認ソフトウエアの性能に対する信頼感が高まり、規制執行を後押ししている。
オーストラリアが16歳未満のSNS利用禁止を開始してから3カ月。こうした措置を検討する動きは欧州、ブラジル、米国の各州にも広がりつつある。
年齢確認ソフトは、顔の分析、保護者の承認、IDチェックなどを通じ、利用者のおおよその年齢を判断する。
ロイターが規制当局や子どもの安全擁護団体、独立系研究者、TikTok(ティックトック)やメタ(META.O)、オープンAIから年齢確認を請け負う業者などに行った取材によると、AIの進歩により、こうしたツールの有効性は向上し、コストは劇的に低下していることが分かった。
「ここ数年で、年齢確認の市場は大きく成熟した」と語るのは、サンフランシスコを拠点とする子どものオンライン保護団体「コモン・センス・メディア」の上級顧問、アリエル・フォックス・ジョンソン氏だ。技術の進歩に加え、ツールの有効性を標準化して評価する業界団体、技術プロトコル、認証制度の整備も進んでいるという。
<成熟する年齢確認市場>
SNS企業は現在、アカウント作成年や閲覧するコンテンツの種類といった「デジタル痕跡」を使い、ユーザーの年齢層を高い精度で推定できるようになったと説明している。また「Yoti(ヨティ)」、「k-ID」、「Persona(パーソナ)」などの年齢確認ソフト事業者が、顔認識や政府発行IDの機械的分析といった自動化ツールによる追加チェックを提供している。
グーグル親会社アルファベット(GOOGL.O)とアップル(AAPL.O)はアプリストアでも、保護者が子どもの年齢層をアプリ開発者に伝えられるツールを導入した。
米東部マサチューセッツ州の調査会社フォレスターのメリット・マクシム副社長は「技術は確実に進歩している。年齢確認に限らず、本人確認全般についても」とし、「その結果、確認の平均コストが下がり、5年前には高額だった技術が、今では大した金銭的負担なくほぼ何にでも利用できるようになった」と語った。
業界幹部らによると、業者が提供する機械のみの年齢確認ツールは1回当たりの料金が1ドル未満で、大量利用の場合は数セントまで下がることもある。
米国立標準技術研究所(NIST)の継続的な研究に基づくと、ヨティなどの企業が提供する顔スキャン技術は、2014年の初期テストでは年齢推定の平均誤差が4.1歳だったのに対し、24年には3.1歳、現在は2.5歳まで改善している。
<顔スキャンの精度>
英企業ヨティは、4月公開予定の最新モデルでは14―18歳の顔分析の平均誤差がわずか1.04歳に改善するとしている。米企業パーソナも、13―17歳で平均誤差が1.77歳という精度を誇る。
オーストラリア政府が委託した報告書も昨年、写真ベースの年齢推定ソフトは概ね高い精度を備えていると結論付けた。ただ、16歳の前後3歳に該当するユーザーは、システムの精度が低めの「グレーゾーン」であることが分かり、この層については身分証による確認や保護者の同意といった「補完的な確認手段」に回すことが推奨されている。
また企業幹部によれば、こうしたシステムは特定の肌タイプに対して精度が下がりやすく、古いスマートフォンで撮影した粗い画像を使う場合や、データをクラウドサーバーに送信せず端末上だけで処理する「オンデバイス処理」を行う場合にも弱さが出る。
パーソナのリック・ソング最高経営責任者(CEO)の話では、10代はマスクの着用、濃いメイクや付け髭などの方法で自身を大人っぽく見せようとすることが多く、オンデバイス処理ではこれらを見抜ける確率が低くなる。
一方、ヨティのロビン・トムズCEOは、SNSはユーザーの膨大な個人情報を保有しているため、ポルノサイトやギャンブルサイトに比べ、顔スキャンや身分証チェックの必要が少ないと話す。オンラインでの行動、金融情報、その他のシグナルを分析する「インファランス(推論)」と呼ばれる年齢確認手法を多用することで、規制要件を満たすことができるという。