ニューヨーク外為市場では、終盤の取引でドルが円やユーロなどの主要通貨に対して下落に転じた。トランプ米大統領が対イラン作戦は「ほぼ完了している」と述べたことを受け、世界的なエネルギー供給懸念や景気下押し観測が和らいだことが背景。
トランプ氏の発言が伝わるまでは、イランを巡る中東での軍事攻撃の応酬を背景に原油価格が急騰する中、有事のドル買いが入り、ドルは主要通貨に対して上昇していた。
トランプ大統領はCBSのインタビューで「戦争はほぼ完全に終わったと思う。イランには海軍も通信部隊も、空軍も存在しない」とし、当初想定していた4─5週間よりもかなり早く進んでいると語った。エネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡については、現在は再開していると主張し、「管理下に置くことを考えている」と述べた。
バノックバーン・グローバル・フォレックスのチーフマーケットストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「期待感から相場が動いた」とし、「実際に攻撃の応酬が終わるならドルは下落し、株価は上昇する」と予想。ただ、「現時点ではトランプ氏の発言の意味がどこまで確かなのか分からない」とし、「市場では期待感が出ているが、肩透かしを食らえば、相場は今晩にも再び反転する可能性がある」とも述べた。
終盤の取引でドル/円は0.1%下落。この日の取引の大半では円安・ドル高が進み、一時1ドル=159円台に迫っていた。
ユーロ/ドルは0.1%高の1.1630ドル。ユーロは一時3カ月ぶりの安値となる1.1505ドルまで下落していた。
英ポンドも反転し、対ドルで0.1%高。一時は0.3%下落していた。
イランは9日、米国とイスラエルによる攻撃で殺害されたハメネイ師の後継となる新たな最高指導者に次男のモジタバ・ハメネイ師を選出。攻撃開始から1週間が経過したあとも強硬派による体制掌握が続いていることが示される中、中東での軍事攻撃の応酬を背景に原油価格が急騰したほか、株価が下落するなどの動きが出ていた。
マネックスUSAのトレーディング部門責任者、フアン・ペレス氏は「混乱が広がる世界ではドルは常に安全資産として強みを発揮する」とし、「米国がいかなる軍事的優位性を示す場面でもドルが強含む傾向にある」と述べていた。
市場関係者はアジア諸国は中東産の原油と天然ガスの依存度が高いことから、今回のエネルギーショックで最も大きな打撃を受ける可能性があると指摘。INGのアジア太平洋地域リサーチ責任者ディーパリ・バーガバ氏は「価格がどこまで上昇し、どの程度長期にわたり高止まりするかが問題だ」とし、「軍事攻撃の応酬が長期化すれば、アジア全域でインフレ圧力が一段と高まる恐れがある」とした。
ドル/円 NY終値,157.64/157.69 始値,158.46 高値,158.59 安値,157.64 ユーロ/ドル NY終値,1.1636/1.1637 始値,1.1559 高値,1.1637 安値,1.1548