午前のドルは159円前半と、朝方の水準から上昇した。トランプ米大統領の国民向け演説はイランでの戦闘終結に向けた発信への期待感が一部で高まっていたこともあり、失望感から演説中にドルの買い戻しが進んだ。攻撃が数週間継続され、有事のドル買いは続くとの見方が聞かれる。
朝方は158円後半でもみ合いとなっていたドルは、トランプ氏の演説終盤から買い戻しが強まり、159円台に急伸。演説終了後もドル買いが優勢な流れは続き、159.48円まで上値を切り上げた。
トランプ大統領は1日夜、国民向けの演説を行い、イランとの戦争における「中核的な戦略目標」がほぼ達成されつつあるとの考えを示した。一方、「今後2─3週間で極めて厳しい攻撃を加えるつもりだ」との方針も示した。
市場では、完全な撤退表明や一方的な勝利宣言などがあれば有事のドル買い圧力が緩和して円高に振れるとの想定が崩れたとして、「引き続き有事のドル買い圧力が強い状況が数週間続く」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジスト)との見方が聞かれた。
対イランの作戦から米国が手を引く意向があるのか、あいまいなことが不透明感を一層高めているとの指摘もある。「方針の不確実性が目につく。継続するのは現実的ではないが、(方針を)明確に示せないことが長期化の懸念を生む」(三井住友銀行の鈴木浩史チーフ為替ストラテジスト)との見方だ。
今後は、ドルが再び160円の節目に接近するかが焦点となる。徐々に上値を試す展開が想定される一方、介入実施への警告と市場で受け止められている「断固たる措置」に三村淳財務官が初めて言及した際に推移していたドル160円超の水準は「心理的なライン」(三井住友銀の鈴木氏)となったとの声も聞かれる。