中国税関総署が10日発表した1ー2月の貿易統計によると、輸出(ドル建て)は前年同期比21.8%増となり、昨年12月の6.6%増から大幅に加速した。ロイターがまとめた市場予想の中央値(7.1%増)も大きく上回った。
電子機器の旺盛な需要が輸出の追い風となっている。世界的なメモリーチップ不足を背景に、半導体輸出は前年比66.5%増加し、過去10年以上で最も大幅な伸びとなった。
1ー2月の輸入は前年同期比19.8%増で、12月の5.7%増を上回った。
貿易収支は2136億ドルの黒字。前年同期の1692億1000万ドルを大幅に上回り、市場予想の1796億ドルも超えた。イランでの戦争に伴うエネルギーや海運への影響が一段と広がらなければ、今年の貿易黒字は昨年記録した過去最大の1.2兆ドルを上回る可能性がある。
エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)のシニアエコノミスト、Xu Tianchen氏は「人工知能(AI)投資ブームを背景に、集積回路やハイテク製品の輸出の強さは予想通りだ」と指摘。一方で、東南アジアや南アジアとの競争で苦戦していた衣類や繊維、バッグなどの輸出が伸びたことについては「驚きだ」と述べた。
同氏によれば、中国の輸出の勢いは今後数カ月でさらに加速する可能性がある。3月の統計では、米最高裁による関税猶予措置を利用しようとする対米輸出の駆け込みや、繊維などの低付加価値分野でのシェア奪還の動きが反映される見通しだ。
ユーラシア・グループの中国担当ディレクター、Dan Wang氏は「主要な欧米経済が財政拡張局面に入っている」と分析。さらに、電気自動車(EV)、リチウムイオン電池、太陽電池の「新御三家」に対する根強い需要も輸出を押し上げているとした。
<イラン戦争の影響>
現時点で、中国の輸出優位性が鈍化する兆候は見られない。トランプ米大統領が2025年に再燃させた関税合戦も、産業界の勢いを削ぐには至らなかった。製造業者は米国市場の減退を補うため、東南アジアやアフリカ、中南米へと輸出先を振り向けている。
1-2月の東南アジア諸国連合(ASEAN)向け輸出は前年比29.4%増、欧州向けは27.8%増、韓国向けは27%増だった。
イラン戦争とホルムズ海峡の実質的な封鎖が製造業にもたらす影響について、エコノミストはまだ判断するには早いとみている。
INGの中華圏担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏は、輸出の勢いがこのまま続くとみるのは「危険な賭け」だと述べた。イラン戦争によるエネルギー価格への影響が、各国経済にスタグフレーションをもたらす可能性があると警告した。
その一方で、「イラン戦争が非常に早く終わるというトランプ氏の予測が現実となり、速やかな解決が見られれば、今年の外需押し上げ効果はより限定的になるというわれわれの見通しは、見直しが必要になるかもしれない」と述べた。
中国の輸出主導による経済成長を左右するもう一つの大きな不確定要素は、今月北京で開催予定のトランプ氏と習近平国家主席の首脳会談だ。両国の貿易戦争が実質的な休戦に至るとの期待は低く、双方とも必要なら貿易戦争を再開する構えを見せている。
エコノミストらは、今回の堅調な統計を受けて、政策当局が追加の景気刺激策を先送りし、輸出依存をさらに強める可能性があると指摘した。
ピンポイント・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、張智威氏は「力強い輸出実績と低い公式成長目標という状況を踏まえると、中国が短期的に追加の景気刺激策を導入する可能性は低い」との見方を示した。