週明けの東京市場は、高市早苗政権の財政拡張政策への思惑に基づく円安・株高の「高市トレード」が先行するとみられている。衆院選で与党が議席数の3分の2を獲得することが確実と伝わる中、政権安定を好感した海外マネーの流入が押し上げ役となり、日経平均は6万円も視野に入るとの声がある。一方、日本の財政拡張に対する米国側のスタンス変化も意識されており、選挙後の政策運営に関心が寄せられそうだ。
開票が進む中、NHKは出口調査などから自民党と日本維新の会の連立与党が定数の3分の2を獲得することが確実な情勢と伝えている。ニッセイ基礎研究所の上野剛志・主席エコノミストは週明けの相場付きについて「地滑り的勝利と言え、円安、債券安、株高の高市トレードの反応になりそうだ」との見方を示す。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員は「株式市場では高揚感を伴いながら、短期的にはバリュエーション(株価評価)を無視した上昇になってもおかしくない」とみる。選挙期待の織り込みは進んでいたものの、その期待を上回るサプライズとなり、日経平均は6万円を視野に捉える可能性があるという。
日経平均の株価収益率(PER)は6日時点で20.3倍と高水準にある。物価上昇による名目利益の押し上げ効果を考慮しても、コロナ禍後の中心レンジ14―16倍から大きく上振れているが、りそなホールディングスの武居大輝市場企画部ストラテジストも「長期安定政権への期待が高まってバリュエーションは拡張し、海外投資家も買い越していくだろう」と見通す。
前週末のシカゴ日経平均先物は、米株高に加え、衆院選での自民大勝観測を事前に織り込みながら、現物終値に比べ約2200円高い5万6000円台半ばに急騰していた。週明けは現物が先物高にさや寄せする動きが見込まれている。
一方、需給面では、信用買い残が5兆円超となっており2006年5月以来、約20年ぶりの歴史的水準に積み上がってもいる。「利益確定の圧力にはなり得るが、選挙要因ではないだろう」とりそなHDの武居氏はみている。
<米国の「顔色」と政策期待が綱引き>
円安は一段の株高の燃料になり得るが「賞味期限は長くないかもしれない」(ニッセイ基礎研の上野氏)との見方がある。
財政拡張による円安が強まるのは、与党劣勢で野党の意向を汲む必要が生じるケースとの織り込みが優勢だ。与党勝利にとどまらず自民党が単独で過半数を取るようなら、むしろ消費減税などの政策は選挙後にトーンダウンする可能性があるとの見方は多い。
こうした見方を勢いづけているのが、為替に対する米国の姿勢変化だ。米財務省は1月29日に示した外国為替政策報告書で日銀の正常化に向けた取り組みを評価し、利上げ継続を求める直接的な表現を削除した。一方、高市政権の財政拡張政策が円安を招いているとの認識を示した。高市首相は3月に訪米する方向にある中、米当局が日本の財政主導の円安を牽制し始めた格好だ。
円安は輸入インフレを通じて国内金利の上昇(債券は下落)を促し得るが、過度な円安進行がなければ、債券売りも限定的という。市場の過度な円安や金利上昇の反応への警戒もあって、財政拡張には大きく傾けにくい面も意識される。
ドル/円は159円を上回るようなら為替介入への警戒感が再び強まりかねない。ご祝儀相場が一巡した後の高市トレードは「とりわけ消費減税の本気度を見定める局面になるのではないか」と上野氏はみている。