ドル/円は米景気懸念見極め、株式市場の動向も注目=来週の外為市場 07-Nov 14:41

来週の外為市場でドル/円は、米国の景気を巡る懸念や利下げ観測の変化を見極める展開となりそうだ。調整への警戒が強い株式市場の動向も、リスク回避の流れからドル/円を下押しするか注目されている。米国発の手掛かりが少なく、政府機関の閉鎖が解除されるか、指標発表が行われるかへの関心も引き続き高い。

予想レンジはドルが150━156円、ユーロが1.140―1.170ドル。

米国の政府機関閉鎖で手掛かりが少ない中、「ドルを新たに売るほどの米国発の材料はまだ出ていない」(国内銀行のストラテジスト)との見方が聞かれる。本来なら重要な手掛かりとなるはずの消費者物価指数(CPI)などの発表も不透明となっている。

民間の指標などで雇用懸念に焦点が当たれば利下げ観測が高まってドルが売られる場面もある一方、12月の利下げ織り込みが既に7割近くに達しているだけに、その織り込みの剥落によるドル高を意識する声も聞かれる。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は10月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、12月の利下げは「既定路線ではない」とも述べている。

りそなホールディングスの井口慶一シニアストラテジストは、5ー6月以降の緩やかなドル高/円安トレンドが継続し、155円、157円をターゲットに引き続き「上値を試すタイミングをうかがう」展開になるとみている。井口氏は12月の利下げは「織り込み過ぎ」とみており、利下げ見通しに修正が入れば金利上昇とともにドル買い戻しの動きが出る可能性もある。

10日に予定される中川順子日銀審議委員の講演や日銀金融政策決定会合(10月29─30日開催)の「主な意見」公表と合わせ、ドル/円を下押しする材料として注目されるのが日米の株高トレンドの変調だ。株高を主導する人工知能(AI)相場のバリュエーション調整が進めば、「リスクオフの流れからドル/円は一段安」(前出の国内銀ストラテジスト)との見方が聞かれる。

一方、シカゴオプション取引所(CBOE)のボラティリティ・インデックス(VIX指数)は「低過ぎず高過ぎず、危機が迫っているという状況ではない」(りそなHDの井口氏)との見方もある。

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