サウジアラビアが主導し「砂漠のダボス会議」と呼ばれる「未来投資イニシアチブ(FII)」の会合が1日、東京都内で開かれた。片山さつき財務相は、日本では上場企業の行動原則を示した「コーポレートガバナンス・コード」の改訂などが成果を上げてきているとアピールし、「あらゆる海外投資家にとっての魅力を高めていく」と述べた。
片山氏は「日本を世界有数の資産運用拠点として位置づけるために進めている取り組みは成果を上げつつあり、世界の投資家からの関心が高まりつつある」と指摘。「コーポレートガバナンス(企業統治)改革は、依然として重要な優先課題だ」と述べた。政府がAI(人工知能)・半導体など17の戦略分野を掲げていることも紹介した。
赤沢亮正経済産業相は「近年、ルールに基づく自由貿易体制に揺らぎが生じている」と語り「共に成長していくサウジアラビアと日本の両国がグローバルパートナーとして、幅広い分野での関係を一層深めていきたい」と述べた。サウジの大規模開発プロジェクトや国際イベントの機会を「両国の新たなビジネスチャンスにつなげたい」とした。
小池百合子・東京都知事も登壇し、東京はアジア最大の経済圏の一つで「投資家にとって完璧な都市だ」とアピールした。
FIIの会合が日本で開かれるのは今回が初めて。後援したメガバンク3行の一つ、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T)広報によると、今年で日本とサウジの国交樹立70周年となることから東京開催が決定した。両国企業や政府要人が参加する。
サウジは石油依存度の低減、民間部門の拡大、雇用創出を目指す経済改革プログラム「ビジョン2030」を掲げている。「ギガプロジェクト」と呼ばれる大規模開発事業や、首都リヤドでの2030年の万博開催などを控え、インフラ整備などで資金需要が旺盛だ。
会合は、サウジ政府系ファンド(SWF)の「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」傘下のFIIインスティテュートが主催。2月に米マイアミで開かれた際はトランプ大統領が講演した。