韓国年金基金、新たな戦略的為替ヘッジ開始 ウォン下支え=関係筋 24-Dec 14:26

韓国の国民年金公団(NPS)が24日、新たな戦略的な外国為替ヘッジ取引を開始した。事情に詳しい関係筋2人がロイターに明らかにした。

これを受け、ウォン相場は対ドルで約1カ月ぶりの高値に上昇した。

NPSは運用資産が1361兆2000億ウォン(約9268億1000万ドル)にのぼる世界3位の年金基金。国内市場の主要プレーヤーだ。

関係筋の1人は「戦略的ヘッジが開始された」と発言。別の関係筋は「新たに始まった戦略的ヘッジだ。戦略的ヘッジは一度始まると、一定期間実施されるもので、相当な期間に及ぶと見込まれる」と語った。

この報道を受け、ウォンは急反発し、一時1.6%高の1ドル=1458.0ウォンまで上昇。11月26日以来の高値となった。

ある国内の為替トレーダーは「規模の大きい戦略的ヘッジは、ドル/ウォン相場の上昇余地を抑える効果がある」と指摘した。

NPSは投資戦略が市場に影響を与えるとして、コメントを控えた。

保健福祉省は前日、ヘッジ取引をより柔軟に運用する方針を表明。同省はNPSの投資方針を監督しており、先月にはNPSの市場への影響に対応するため、為替当局との協議体を設置していた。

ウォンは今年後半に7%下落。政策当局はインフレ圧力を懸念しており、NPS、個人投資家、企業による海外投資の拡大がウォン安要因になっているとみている。

為替当局は24日、ウォンの過度な下落は望ましくないと記者団に表明。「ここ数週間に一連の会合が開かれ、政策措置が発表されてきたのは、政府の強い意思と対応能力を示すための準備だったことが、間もなく明らかになるだろう」と述べていた。

企画財政省も同日、海外に保有されている資産の国内回帰を促す税制措置を発表。これに先立ち、大統領府の首席政策顧問がウォン支援に向けた複数の対策を準備していると述べていた。

同省は、海外株式をヘッジする個人投資家や、海外株式を売却して国内に投資する個人投資家に税制優遇措置を適用する。また、海外利益を本国に還流させる企業にも税制上のインセンティブを設ける。

iM証券のエコノミストは「一連の措置を総合すれば、ウォン安が一方的に進むとの市場の見方をある程度まで後退させることができる」と述べた。