午後3時のドルは、前日ニューヨーク市場終盤の水準とほぼ変わらずの143円半ばで取引されている。イスラエルのイラン攻撃を受けてリスクオフムードが一気に高まり、ドルと円、スイスフランなどの逃避通貨が一斉に買われた。
ドルが動き始めたのは、攻撃の一報が入ってきた午前9時過ぎ。初期反応はリスク回避の円買いが優勢で、ドルは早朝の143円半ばから142円後半へ急落し今月5日以来1週間ぶり安値を更新した。
その後、攻撃の詳細などが明らかになるにつれドルは次第に反発へ転じた。「有事のドル買い圧力」(国内銀アナリスト)が強まる形となり、発生直後は上昇していたユーロが1.16ドル前半から1.15ドル前半まで反落したほか、主要6通貨に対するドルの値動きを示すドル指数も3年ぶり安値から切り返した。
対ドルでは反落した円だが、それ以外の通貨に対して買われる展開は変わらなかった。豪ドルは93円後半から92円前半へ、英ポンドも195円前半から193円後半へ下落した。
円とドルがともに全面的に上昇したことで、ドル/円は買いがぶつかり合う形で売買が交錯。午後には143円後半まで切り返す場面もあったが、方向感に欠きつつ大きく上下する展開が続いた。
市場では、中東情勢の行方に強い関心が寄せられている。「イランの報復攻撃や周辺国への戦火拡大懸念、対イラン強硬姿勢のトランプ米大統領の反応、原油生産や価格上昇など、影響を現時点で読み切るのは極めて難しい」(日本総研副主任研究員の松田健太郎氏)として、事態の推移を見極めたいとの声が多く上がっていた。
,ドル/円,ユーロ/ドル,ユーロ/円 午後3時現在,143.53/143.54,1.1528/1.1531,165.49/165.51 午前9時現在,143.08/143.10,1.1609/1.1610,166.11/166.12 NY午後5時,143.47/143.52,1.1583/1.1587,166.19/166.27