元財務官で三井住友銀行国際金融研究所の古沢満宏理事長は、歴史的な円安是正に向け、日米が再び協調介入に踏み切る可能性に言及した。日銀の利上げペース加速も選択肢になると述べた。13日に実施したロイターとのインタビューで語った。
7月末の日米協調介入について、古沢氏は「日本としては、過度な円安を是正したかったということだろう」と述べた。
一方、米国としては「自国の金利が上昇することへの警戒感、米国債への波及を警戒しているということが一番大きい」との見方を示した。「中間選挙前に金利が上がってもらっては困る。マーケットが混乱しては困るということだろう」との私見も述べた。
今後の為替対応を巡っては「1ドル=160円でやるとか、162円でやるとか、そういうことではないだろうが、またいつでも介入することはあり得る」と語った。その上で「協調介入で対応する可能性も十分あり得る」と述べた。
日米協調介入と平仄を合わせ、市場で早期利上げ観測が高まってきた。東京短資によると、日銀が9月17、18両日に実施する金融政策決定会合での利上げ確率は13日時点で77%となっている。
古沢氏はインタビューで「今の状況であれば(利上げを)9月にやるべきだ」と指摘。政策金利が9月に1.25%となっても「中立金利の下限を少し上回ったレベルだ」とし、「さらにその後にどのペースでやっていくかというメッセージを出していけるかが重要」との考えを示した。日銀は今年3月、名目ベースで1.1%から2.5%程度とする中立金利の推計値を公表していた。
為替円安が経済に与える影響については「今の円安はマイナスが大きい」とした。
古沢氏は「輸出企業にはプラスだが、これ以上円安になって円建ての利益が膨らめばいいとは思っていないだろう」と述べた。一方で「それよりも原材料費や物価が上がるマイナスのほうが大きい」と語った。
堅調な企業収益を背景に「政策金利を0.25%ずつ上げていっても経済が減速していくことはないのではないか」とし、「粛々と金利を上げていっても経済が大きく減速していくということにはならない」と述べた。
経済が腰折れしなければ「12月か1月、年度をまたいでもう1回の利上げを視野に入れていくだろう」との見通しも示した。「日銀は、最終的には、政策金を1.50%から1.75%程度まで引き上げたいと考えているのではないか」と語った。
古沢氏は「金融政策や財政の信認で過度に円が売られる状況から脱却し、成長投資が功を奏して日本経済が良い方向に回っていく形で徐々に円高にいくことが理想」と強調。高市財政を巡り、消費税減税を柱とする政策財源を市場に示すことの重要性も訴えた。
古沢氏は、2013年3月から14年7月まで財務官を務めた。国際通貨基金(IMF)副専務理事など国際金融の要職を歴任した過去を持つ。