インドで消費者物価の伸びが抑制されていることを受け、一部のエコノミストの間で早期の利上げ観測が後退している。通貨ルピーの防衛やインフレ抑制に向けた金融引き締め予想を修正する動きが出ている。
6月のCPI上昇率は前年同月比4.38%と、インド準備銀行(中央銀行)が目標とする4%を17カ月ぶりに上回ったが、4─6月期の平均は3.9%にとどまった。
シティのエコノミストは13日のリポートで、今年度のインフレ率は平均4.7%となり、中銀が6月の政策決定会合で示した予想の5.1%を下回る可能性があると指摘した。
シティのインド担当チーフエコノミスト、サミラン・チャクラボルティ氏は「RBIは8月に総合インフレ率の見通しを約20ベーシスポイント(bp)引き下げる公算が大きく、早期の利上げの必要性は低下する」との見方を示した。
「今後の利上げはコアインフレ率が4.5%を上回る状態が続いた場合にのみ実施される可能性がある。近い将来にそうなる可能性は低いため、2026年中の利上げを想定していない」とした。
シティはこれまで、8月と10月にそれぞれ25bpの利上げが行われると予想していた。
金利スワップ市場では、金利据え置きや緩やかな利上げの可能性がすでに織り込まれ始めている。1年物オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)金利が織り込む今年度の利上げ幅は50bpとなり、6月の会合前の125bpから縮小した。
SBIエコノミック・リサーチは、通年のインフレ率が平均5%にとどまり、今年度は金利が据え置かれると予想している。
ANZも8月の利上げ予想を撤回し、据え置き予想に転じた。中銀は状況を見極めてインフレリスクを再評価する余地があるとしている。
STCIプライマリー・ディーラーも今年の利上げ予測を撤回した。中銀は足元のインフレ上昇を一時的な供給ショックとみなし、これに対応した引き締めは避ける公算が大きいと分析している。