インドが次期指導者の検討を始める時期が近づいている。2026年末までに、モディ首相は3期5年の中間点を迎える。現在75歳のモディ氏は、10年以上にわたり強力で親ビジネス的な政権を維持してきた。4期目の可能性もゼロではないが、与党・インド人民党(BJP)の過半数維持が揺らぎ、現職批判が高まるなかで、その実現性は低い。誰が後継となるかという問いは、今後切実さを増すことになる。
モディ氏の人気は依然として極めて高い。米データ会社モーニング・コンサルトの11月の調査では、主要24カ国の指導者の中で首位の支持率71%を記録した。通算在任期間は15年に達しようとしており、ネルー初代首相やインディラ・ガンジー首相の記録に迫る。
サビトリバイ・フレ・プネ大学の元教授で政治学者のスハス・パルシカー氏によれば、モディ氏の選挙における圧倒的な強さは、経済面の勝利至上主義と、ヒンドゥー教の宗教的情熱を投票行動につなげた強力な組み合わせから生じている。遅れていた税制、破産法、労働法の改革を断行し、財政赤字と経常赤字の削減に努めてきたことは、マクロ経済の安定を確立し、ビジネス界におけるモディ氏の魅力を高めた。
モディ首相後継のシナリオは主に3つある。最も可能性が高いのは、盟友のアミット・シャハ内相や、マハラシュトラ州のデベンドラ・ファドナビス州首相など、BJP内部からの昇格だ。今のところ党内でモディ氏に挑戦する動きは見られない。
あるいは、モディ氏の現在の連立相手が、連立政権のトップを目指す可能性もある。南部のアンドラプラデシュ州を統治し、米アルファベット<GOOGL.O>傘下グーグルによる150億ドルのデータセンター投資を主導するテルグ・デサム党のナイドゥ州首相や、その息子であるナラ・ロケシュ氏らだ。
最後は、議会の野党指導者であるラフル・ガンジー氏や、カリスマ性のある妹のプリヤンカ氏が率いる野党勢力による政権交代だ。
しかし、誰が後継になろうとも、モディ氏ほどの支持基盤を維持するのは困難だ。指導力が弱まれば、人気取りのための現金給付や福祉政策に頼らざるを得ず、インドの財政規律を損なう恐れがある。また、統一性に欠ける連立政権は権力の分散と汚職の再燃を招きかねない。投資家の間では、こうした「ポスト・モディ」への不安が表面化し始めている。