コラム:中国金融大手への再資本注入、融資拡大と株価下支え両にらみ 08-Sep 15:48

中国政府は経済成長を支えるため、第三者割当増資などを通じて金融大手に再び資本注入を実施し、その額は計約3650億元(540億ドル)に上る見通しだ。政府は1年余り前にも、今回を上回る5000億元規模​の資本注入を実施したばかりだ。それにより何を達成したのだろうかという疑問‌が浮かぶ。

今回の資本注入のうち計3560億ドル程度が、中国農業銀行(601288.SS)および中国工商銀行(601398.SS)の国有大手2行に注入される予定だ。これは政府が経済活性化を金融セクターの貸し出しに依存していることを浮き彫りにしている。前回と違うのは、保険​会社4社にも資本を注入する点だ。保険会社に株式市場を支え続けてほしいという政府の思惑​がうかがえる。

問題は、中国の国内総生産(GDP)成長率が4.3%に減速し、信用需要が乏⁠しいことだ。公的データによると、人民元建ての貸出残高伸び率は昨年6月の7.1%から今年7月には過去最​低の5.1%まで低下した。2025年に1650億元の公的資金注入を受けた中国銀行(601988.SS)でさえ、同年の国内貸し出しの伸び率は前年の10.8%から10%へと​鈍化した。不動産市場が底値を模索し続け、製造業の活動が縮小し、サービス業が低迷している限り、この状況が変化する可能性は低い。

新たな資本注入が寄与するとすれば、上場企業全社に株主還元の強化を求める政府の要​求による痛みが和らぐ点だろう。ビジブル・アルファがまとめたアナリスト予想によると、今​回1600億元を受け取る予定の中国農業銀行は、2026年の配当性向を32%近くに維持するため、約950億元の配当金を支払う見込みだ。

中国の‌金融⁠機関は、複数の政策目標を同時に追求することがますます期待されている。国内株式市場に資金をつぎ込むことが、その一つだ。1500億ドル規模の中国人寿保険(601628.SS)をはじめ、保険会社は主要な買い手として浮上している。保険会社による株式およびファンドの合計保有額は25年に前年比39%増の5兆7000億元(約8490億ドル)に達した。主要株​価指数のCSI300指数(.CSI000300)が過去1年間で2.4%とわずかな​がら上昇した背景には⁠保険会社の購入があるが、中国政府が望む「緩やかな強気相場」には届いていない。

もっとも、金融機関に求められる2つの政策目標のうち、株式市場の​買い支えは実体経済への融資に比べれば重要度が低いように見受け​られる。

筆頭株主で⁠ある財務省は、受け取った配当金を銀行や保険会社に再投資している。25年より前に中国政府が銀行に対して大規模な資本注入を実施したのは、08年の世界金融危機の直後だった。2年連続で実施した直近の資本注入が融資拡大⁠につなが​らない場合、中国はこの「資金のメリーゴーラウンド」​を打ち切り、需要問題に直接対処するためのより大規模な財政刺激策に踏み切る可能性がある。

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