インドネシアが著作権法の抜本改正を準備している。ロイターが17日までに確認した関連法案原案では、人工知能(AI)を利用してコンテンツを生成した人に対し、一定の条件下で著作権を認めるとしている。可決成立すれば、著作権法にAIを組み込んだ、東南アジアで初の事例となる。
人間が作成した作品がAIモデルの学習に使用されることが問題視されるなど、AIが著作権に及ぼす影響への対応が各国で課題になっている。
法案原案は、インドネシアの議員が作成し、政府に提出された。法務省の知的財産当局の高官は、法案原案の存在を確認し、「生成AIの発展は著作権の枠組みを混乱させている。規制されなければ、人間の創造を終わらせる可能性がある」と述べた。
法案原案では、AIを利用した作品作成者に著作権を付与する条項を新設した。ビデオゲーム、写真、コンピュータープログラム、ジャーナリズム、映画など、さまざまなコンテンツに適用される。
著作権保護の対象となるには、人間の関与に関する基準を満たす必要があり、100%AIで生成された作品は対象外となる。ただどの程度、人間の関与が必要かは明示されていない。
クリエーターの「独特のスタイル」を模倣するためのAI使用の禁止や、コンテンツにおけるAI使用の開示の義務化も盛り込んだ。
テックプラットフォームに対しては、ニュースコンテンツの集約、再出版、リンクのプレビュー表示、およびAI学習への使用に対する対価(使用料)支払いを義務付けた。この使用料は国が監督する集中管理団体に支払われ、そこからニュース発行元に資金が分配される。規定に従わない場合、事業許可の取り消しを含む制裁を受ける可能性がある。
AIモデル訓練のための著作物利用は、フェアユース規定またはライセンス契約の対象となる。
この法案について、知財・エンターテインメントが専門のアリ・ジュリアノ・ゲマ弁護士は、法案はAIの商業利用と研究目的の利用を混同しているように見え、テック企業の懸念を引き起こす可能性があると述べた。
インドネシアの著作権法見直しの動きを巡り、アルファベット (GOOGL.O)傘下のグーグルは先月、「厳格で広範すぎる義務付けは、地元のクリエーターに害を及ぼし、イノベーションを遅らせる。インドネシアが国際的に異質な存在となり、最終的にはデジタルの未来を推進するために必要な投資を呼び込めなくなる」とする声明を発表した上で、政府と対話する意向を示した。
欧州連合(EU)のAI法は、企業に対し、「ディープフェイクを構成する」画像、動画、音声コンテンツの生成や修正にAIが使用された場合、それを明示するよう求めている。ただし、特定の芸術作品や風刺作品については例外を設けている。
米国やシンガポールの著作権法ではAIについて明記されていないが、両国の著作権局は、著作権保護には人間の貢献が必要だとしている。